DECCA

1929年に新興レーベルとして設立。戦後、ffrr(Full Frequency ragen recording)という広帯域の録音技術で一気にクラシック音楽メジャーレーベルとなる。メジャーオーケストラや演奏家と次々と専属契約を結び、この世界をリードするようになる。とくにウィーンフィルとの専属契約によりそのレーベルは質、量ともに最高レベルに達する。ただ、その後の足取りは大資本によってコントロールされることになる。まず、ポリグラム傘下に入り、1999年にはユニバーサルミュージックの配下となる。

SXL ワイドバンド ED1 (ステレオ)

ED1
日本では「大デッカ」とも呼ばれることがあります。
特にED1(English Decca 1)と呼ばれるものの紹介です。

中古レコード市場では希少価値が高いと考えられており、さらに、ジャケットの裏部分が青い帯で囲まれている場合はブルーバックボーダーと呼ばれ、さらに希少価値が高くなります。デッカサウンドを堪能するには最も理想的なレーベルとされています。
デザイン
特徴等
中央より上部に銀地に黒字抜きで「FULL FREQUENCY STEREOPHONIC SOUND」と大きく記載されており、この部分の幅が後のナローバンド盤よりも広いことからワイドバンドと呼ばれています。
ワイドバンドの中でもこれは最も初期盤で左肩上に「ORIGINAL RECORDING」の文字が見えます。
また、内溝が彫られています。
(*)ED1の定義は大体上記のようですが、内溝が無いのに「ORIGINAL RECORDING」の文字があったりすることもありますので、いくつかの例外もあるようです。
カタログ番号 SXLの2000番代から6200番代の初めまで続きます。
上記写真 : カール・ベーム指揮ウィーンフィル コシ・ファン・トゥッテ ハイライト SXL2058の第1面。

SXL ワイドバンド ED2 (ステレオ)

ED2
上記ED1と同じワイドバンドで、同じく希少価値があるレーベルです。
ED1とED2をまとめて「溝ありワイドバンド」と呼ぶこともあります。
デザイン
特徴等
細かい部分で違いはありますが、ほとんどED1と同じデザインです。
大きく違うのは左肩上の表記が「MADE IN ENGLAND」となっています。
カタログ番号 ED2が初版のLPはSXLの6000番代前半に見られます。
上記写真 : イッセルシュテット指揮ウィーンフィル ベートーベン 交響曲第9番 SXL6233の第1面。

SXL ワイドバンド ED3 (ステレオ)

ED3
ED3まで来ると、ワイドバンドであること自体の価値よりも、よりレコード内容の価値により取引価格が左右されるようになります。ED3で価値が高いが高いものにSXL6426(ロストロポーヴィッチ チェロソナタ)、SXL6423(ウェラー弦楽四重奏団)等があります。
デザイン
特徴等
ED2と大体似ていますが、溝がありません。
カタログ番号 ED3が初版のLPはSXLの6000番代前半〜中頃に見られます。
上記写真 : ウィリー・ボスコフスキー指揮ウィーンフィル シュトラウスワルツ集 SXL6419の第1面。

SXL ナローバンド (ステレオ)

Narrow Band
ED1から比べるとすっかりと中央の帯部分も小さくなり、重量も軽くなります。ナローバンドが初版というLPも多くありますが、レコードの内容により価格は大きく左右されます。価値が高いものに、SXL6529(メータ指揮ロス・フィル 「惑星」)、SXL6721(チョン・キョン・ファ バッハ パルティータ)等があります。ED4と呼ばれることもあります。
デザイン
特徴等
中央の「FULL FREQUENCY....」の幅が狭くなっています。
カタログ番号 SXLの6000番代中頃から後半まではナローバンドが初版となります。
上記写真 : イッセルシュテット指揮ウィーンフィル ベートーベン 交響曲第9番 SXL6233の第1面。

SXL ナローバンド (ステレオ) オランダプレス

Dutch Press
ナローバンドでも後半はオランダプレスとなります。レコード自体軽く、薄くペラペラとしたものになります。といっても、オランダプレスだからという理由で価格が安くなることは余り無い様で、あくまで、レコードの内容により価値が決まる様です。
デザイン
特徴等
MADE IN HOLLANDの文字が下部に見えます。
カタログ番号 SXLの6000番代後半はこのプレスとなります。
上記写真 : メータ指揮ロス・フィル R・シュトラウス 「アルプス交響曲」 SXL6752の第1面。

PFS (ステレオ)

Dutch Press
DECCAが誇るフェーズ4のシリーズです。録音技術の発達を謳ったシリーズですが、「レア度」が重要な中古市場ではそれほど注目されていません。しかし、フェーズ4サウンドを愛好するファンも根強く、決して高価ではありませんが着実に取引されているシリーズです。
デザイン
特徴等
上半分が赤地で、大きく「4」の文字が2箇所描かれています。
カタログ番号 PFSに4桁の数字。
上記写真 : レオポルド・ストコフスキー指揮ロンドン交響楽団 ドビュッシー 「ラ・メール」 PFS4220の第1面。

ACL (モノラル)

Dutch Press
ACE OF CLUBSはモノラルの再販盤です。殆どがLXTの再リリースですが、モノラルレーベルの廉価版ということで、中古市場では安価にて取引されています。状態もLXTと同様に、良い物は余り見かけることはなく、またジャケットも白黒写真が基本となっているため魅力に欠けます。
デザイン
特徴等
ACE OF CLUBSをあしらったデザインが中央に描かれています。
カタログ番号 LXTの再リリースが基本です。
上記写真 : エーリッヒ・クライバー指揮ロンドン・フィル モーツァルト交響曲第40番 ACL66の第1面。

SDD (ステレオ) 溝あり FFRR 肩にDECCAロゴ

ACE OF DIAMONDSシリーズのステレオ版。基本的にSXLの再販版ですが、FFRRの文字が中央上部にある盤はオリジナル原盤を使ってプレスされたものとされ、中古市場での価値が高くなっています。
デザイン
特徴等
FFRR(FULL FREQUENCY RANGE RECORDING)の文字があります。内溝があります。
中央大きなAの文字の右肩にDECCAの文字が枠入りで表示されています。
カタログ番号 基本的にSXLを中心としたステレオ再販盤ですが、SDDで初めてリリースされた盤もかなり含まれています。
上記写真 : ウィリー・ボスコフスキー指揮ウィーン・フィル シュトラウス・ワルツ集 SDD127の第1面。

SDD (ステレオ) 溝あり FFRR

Dutch Press
同じく、SDDのFFRR盤。良質の音を安価で入手できることから、愛好家から支持されることが多いシリーズです。
また、何回もプレーヤーにかけられた結果スレ、キズなどにより状態が悪くなることが多いSXLと比較すると、中古市場からは新品同様の盤が手に入ることも多く、新鮮なDECCAサウンドを味わうことができるため見逃すことのできないレーベルであることは間違いありません。
デザイン
特徴等
FFRR(FULL FREQUENCY RANGE RECORDING)の文字があります。内溝があります。
カタログ番号 上記と同じくステレオ再販盤です。
上記写真 : ヨゼフ・クリップス指揮ロンドン交響楽団 シューベルト「ザ・グレート」 SDD153の第1面。

SDD (ステレオ) 溝無し FFRR

同じくSDDのFFRR盤ですが、溝がありません。このため、ED3、あるいはナローバンドの再販盤と考えられます。
デザイン
特徴等
FFRR(FULL FREQUENCY RANGE RECORDING)の文字があります。
カタログ番号 上記と同じくステレオ再販盤です。
上記写真 : フリッツ・ライナー指揮ウィーン・フィル ブラームス「ハンガリー舞曲」 SDD123の第1面。

SDD (ステレオ)

Dutch Press
純SDDレーベルといえます。SDDでの初リリースも多く、ゴールドベルグ(バイオリン)、ルプー(ピアノ)によるモーツァルトソナタ等、数多くの名盤を揃えています。
SDDを単なる再販レーベルと低い評価で捉えるよりも、当時の豊富なアーティストと意欲的な録音活動を背景とした、特色あるシリーズと考えるべきと言えます。
デザイン
特徴等
FFRRの文字が抜け、著作権表記が上部円周に沿って小さな文字で表記されています。
カタログ番号 主にステレオ再販盤です。
上記写真 : フィエルスタート指揮ロンドン交響楽団 グリーグ「ペール・ギュント」 SDD111の第1面。

JB (ステレオ)

Dutch Press
JUBILEE シリーズと名づけられたステレオ再販盤です。
DECCAの再販レーベルの中では比較的流通量が少ないような気がします。中古市場ではあまり注目されないレーベルです。
デザイン
特徴等
真ん中に小さく小文字でdeccaロゴがあり、その下に王冠をあしらったデザインがあります。
カタログ番号 ステレオ再販盤です。
上記写真 : ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮ウィーン・フィル ベートーベン交響曲第9番 JB1の第1面。

ECS (ステレオ)

Dutch Press
ECLIPSシリーズで基本的にはDECCA音源のステレオ再販盤です。流通量もかなりの量で、最もよく見かける廉価レーベルの一つと考えられます。
このレーベルの時代になると、プレス技術もかなり良くなり、音質も原盤を超えるといわれることもあります。また、ECSが初リリース、TASリストに含まれるものなど話題性もあり、掘り出し物を探す愛好家にとっては興味をそそられるシリーズです。
デザイン
特徴等
中央上部にECLIPSの文字があり、紫地に銀文字で詳細が記入されています。
カタログ番号 ステレオ再販盤ですが、モノラルをステレオ処理したものもあり、音源は様々です。
上記写真 : アルヘンタ指揮ロンドン交響楽団 リムスキー・コルサコフ「スペイン奇想曲」 ECS797の第1面。

SET ワイドバンド (ステレオ)

SET
ステレオLPの組み物はSXL以外にSETというカタログ番号でもリリースされています。SXLと同様、ワイドバンド(溝あり、溝なし)、ナローバンドがあります。SXLや他のレーベルの組み物に比べると、特に高額な価格で取引されるレコードは意外と少ないようです。(左写真は溝なしのもの。)
デザイン
特徴等
SXLと良く似たデザインですが、背景が紫色になっています。
カタログ番号 溝あり、無しの違いはありますが、SETカタログ全般を通じてワイドバンドが初版となります。
上記写真 : カール・ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内管弦楽団 バッハ 「マタイ受難曲」 SET288の第1面。

SET ナローバンド (ステレオ)

SET Narrow Band
SETのナローバンドです。
デザイン
特徴等
SETのワイドバンド同様、背景が紫色になっています。
カタログ番号 SETのカタログでナローバンドが初版となるものは存在しないようです。
上記写真 : ショルティ指揮ロイヤルオペラ チャイコフスキー 「エフゲニー・オネーギン」 SET596の第1面。

GOS

GOS
再販レーベルであるAce Of Diamondsのオペラ組み物はGOS(Grand Opera Series)としてリリースされました。初期SXLと同じ原盤を使用したFFRRは、SDDと同様に希少価値が高くなります。また、これもSDDと同様SXLではリリースされずにGOSが初版となるものもあり、見逃せないものがあります。
なおGOSの初版となったレーベルは、SXL、LXT、SB等複数にわたり、DECCAの会社としての事情が大きく影響しています。
デザイン
特徴等
SDDと良く似たデザインですが、中央上側に「Grand Opera Series」の表記があります。
カタログ番号
上記写真 : ベーム指揮ウィーンフィル モーツアルト 「コジ・ファン・トゥッテ 」 GOS543の第1面。